居合道の稽古後のハナシ。
タイトルにも書いていますが、刀を抜く時に、どうするか。
普通に考えれば、手で刀身を鞘から引き出して抜くワケです。
ただ、それでは「抜刀=斬撃」とは成り得ません。
刀身を抜き切った瞬間。
使用者の身体から伝達された運動エネルギーを、最も効率的に解き放つ。
それが居合抜きの妙だと自分は思うのです。
さて。
カッコヨク「使用者の身体から伝達された運動エネルギー」と書きましたが。
例えば野球のピッチャーなんかがイメージし易いと思うので例にしてみます。
ボールを投げる際、腕だけで投げる事はできません。
大車輪ロケットパンチみたく腕だけをフル加速しても、大した威力は出ない。
踏み込む足、腰のひねり、そういった下半身からの加速が乗ってことなのです。
これが理論的には分かっていても、無意識にそうそうできないのです!
居合抜きをする際、刀身を抜きながら腰は抜く方向とは逆に捻っていくのですが、
これってスポーツみたく自然な人間の体の動きとはちょっと違うみたいで。
右手と左足、左手と右足を交互に使う事に慣れた現代人には違和感があります。
いや、きっと昔の人でも、習わないと気付けない。
何年も稽古を続けて初めて悟るコツ、というものはやはりあるものです。
まぁ、なんというか、こういう非自然な動きをナチュラルに使う事で、
武道の武道たる独特の神秘性や威力が体現されるんでしょう。
† † †
腰の捻りによって生み出される加速と力の伝達。
やはり腕の力に頼ってしまう自分は、先生に言わせると
「剣尖よりも腕を先に振っている」
状態なんだそうです。腕に頼らず腰で振るのが今後の課題。
要は、腰のバネを利かせれば、腕に無駄な力をかけなくて済む。
結果、刀身の軌跡が最も美しく効率的に描かれる。そういう事だと考えます。